HEAT20とは?
HEAT20とは2009年に発足した高断熱住宅研究会を指す言葉でしたが、今では断熱基準を表す言葉として使用されています。全部で3つの基準があり、HEAT20 G1・HEAT20 G2・HEAT20 G3の順に断熱基準が高く設定されています。省エネルギーやZEH基準と同様で、用いられる基準値はUA値(外皮平均熱貫流率)です。
ZEHより高い断熱基準が採用された背景には、日本の住宅の断熱性能が世界各国の中でも低いことが挙げられます。国内の地域区分1~2のZEH基準値はUA値0.40W/m2・Kですが、世界では0.40W/m2・Kよりも低い水準が一般的。国内の住宅性能を高めるために、より高いHEAT20に注目が集まっています。
HEAT20のメリット
HEAT20の基準値を満たすことで、下記のようなメリットを得ることができます。
1:温度差の少ない快適な暮らしを実現できる
HEAT20の基準値を満たす住宅であれば、室温にムラが生じにくくなり、一年を通して快適に生活できるメリットが得られます。断熱性能が低いと、同じ家の中でも室温にムラが生じやすく、暖かい部屋・寒い部屋ができることに。リビングやキッチンは暖房が届きやすく室内を一定温度に保ちやすい一方で、浴室やトイレは暖房が届きにくく室温が下がりやすいでしょう。家全体で温度差を抑えることで、ヒートショックの予防にも繋がります。
2:健康リスクの軽減
温度差が大きいと、結露が起こる原因になります。カビの繁殖により健康リスクが高まるほか、建材がダメージを受けやすくなるでしょう。また、室温を一定に保ちやすくなるので、快適な体感温度を実現できます。実は英国では最低推奨室温が21℃に設定されており、18℃未満になると血圧上昇や循環器系疾患の恐れがあると考えられています。反対に室温が上昇し過ぎても健康リスクがあり、30℃近くになると熱中症になる恐れも。1年を通して室温を21~28℃と温度差を少なくできれば、健康リスクを軽減できるでしょう。
HEAT20の基準
HEAT20では、「G1」「G2」「G3」の3つのグレードに分類されます。G1~G3の順に断熱性が高く、断熱性能が高まるほど快適な室温を実現できるでしょう。HEAT20 G1~G3の基準値は、地域の気候に合わせて定められおり、UA値0.56~0.2W/m2・Kの間に設定されています。ここでは、地域区分によるHEAT20G1~G3の基準値を紹介していきます。
G1
冬期間の 最低体感温度 |
北海道の大部分のエリアにて概ね13℃、東北から南九州までのエリアにて概ね10℃を下回らない環境が確保できる |
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体感温度15℃未満 になる割合 |
北海道の大部分のエリアにて概ね3%、東北から南九州までのエリアにて概ね20%に抑えられる環境が確保できる |
地域区分 | ・1~2(北海道):0.34W/m2・K ・3(青森・岩手・秋田):0.38W/m2・K ・4(東北・北関東):0.46W/m2・K ・5(関東・東海・近畿・中国・四国・九州):0.48W/m2・K ・6~7(関東・東海・近畿・中国・四国・九州・南九州):0.56W/m2・K |
G2
冬期間の 最低体感温度 |
北海道の大部分のエリアにて概ね15℃、東北から南九州までのエリアにて概ね13℃を下回らない環境が確保できる |
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体感温度15℃未満 になる割合 |
北海道の大部分のエリアにて概ね2%、東北から南九州までのエリアにて概ね15%に抑えられる環境が確保できる |
地域区分 | ・1~3(北海道・青森・岩手・秋田):0.28W/m2・K ・4~5(東北・関東・東海・近畿・中国・四国・九州):0.34W/m2・K ・6~7(関東・東海・近畿・中国・四国・九州・南九州):0.46W/m2・K |
G3
冬期間の 最低体感温度 |
すべてのエリアで概ね15℃を下回らない性能 |
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体感温度15℃未満 になる割合 |
すべてのエリアで概ね15℃を下回らない性能 |
地域区分 | ・1~3(北海道・青森・岩手・秋田):0.2W/m2・K ・4~5(東北・関東・東海・近畿・中国・四国・九州):0.23W/m2・K ・6~7(関東・東海・近畿・中国・四国・九州・南九州):0.26W/m2・K |