ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは
所管する経済産業省資源エネルギー庁が公表しているZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の定義は以下のとおりです。
「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」
簡単にいえば、冷暖房や給湯、照明などで年間に消費するエネルギーを、太陽光発電などの再生可能エネルギーでまかなえる住宅ということです。単にエネルギーの自給自足ということではなく、断熱性能などによって必要とするエネルギー量を削減することが前提となっています。
エネルギー基本計画とその概要
日本は石油を中心に資源の乏しい国であり、多くが輸入頼みであるエネルギー調達の脆弱性は、長年にわたって課題とされてきました。そこで策定されたのが、「エネルギー基本計画」です。資源エネルギー庁が所管しています。
エネルギー基本計画は3年ごとに見直される
エネルギーの供給を海外に頼ることで、国際情勢の悪化による供給量の減少と価格高騰、輸入ルートの確保など、国民生活と安全保障の問題は避けてとおれません。1973年に発生した第一次石油ショックで、トイレットペーパーの買占めなどの問題が生じたことは、多くの国民の記憶に残っているところです。
現在では、新興国のエネルギー需要の増大による調達への懸念や、地球環境問題など、エネルギー政策の重要性は高まる一方です。そして、今後もますます厳しい環境が待っていると考えられます。そのため、目先の問題だけにとらわれない、需給バランスの長期安定につながるエネルギー政策を行う必要があります。
エネルギー基本計画は、長期的なスパンでのエネルギー政策の推進を図るものであり、状況の変化にも対応できるように、3年ごとに見直しが行われます。現在の計画は、2014年に策定された第4次計画です。
エネルギー自給率の上昇と国際貢献
輸入に頼りきったエネルギー調達の問題は、平時における供給量の不安定性とコスト上昇による貿易赤字や物価上昇だけではありません。福島第一原発事故などでもわかるように、災害時の国民生活に多大な影響を及ぼします。当然、多層的な供給源の構築とエネルギー自給率の上昇が重要課題となります。
そのため、エネルギー基本計画で重要なことは、既存のエネルギー源だけでなく、再生可能エネルギーなども含めた新しい体制をつくることです。また、地球温暖化問題が指摘されるなかで、新しい体制をつくることにより、エネルギー自給率を上げることができれば、至上命題となっている国際貢献にもつながります。
エネルギー自給率の上昇は、供給を増やすだけでなく、需要を減らすことでも実現可能です。つまり、省エネの推進です。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の展望と補助
社会全体で省エネを推し進める方策のひとつとして、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)があります。
国では、新築戸建てに占めるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の割合として、2020年までに50%超えを目標としています。もちろん、ただ目標を掲げただけで普及するものでもありません。
そこで、2016年にはじまったのがZEH支援事業です。ZEH支援事業では、一定の条件のもと、新築住宅の建築主などに75万円の補助金を交付しています。さらに、蓄電システムを設置する場合は容量に応じて加算があります。交付される金額は誰でも同じです。
また、この目標数値を自社の受注分について適用するとした建築業者等を、ZEHビルダーとして登録・公表しています。