ZEHにおける断熱材選びの重要性

ZEHを断熱から考える

ハイスペック断熱材
選び

ZEHは省エネと創エネによりエネルギー消費量を実質ゼロ以下に抑えた住宅のことを言います。省エネと創エネ、どちらが欠けてもZEHとは認められません。創エネは太陽光発電設備などを設置することで実現できますが、省エネは住宅各部の施工によって追求していく必要があります。
そして、その省エネにもっとも貢献するのが断熱材です。断熱材選びは、ZEHの最終的な仕上がりを左右するといっても過言ではない、重要な作業なのです。ここでは、そんな断熱材にかんする基本的な知識を解説します。

断熱材の種類

断熱材には、大きく3つの種類があります。

繊維系

繊維系は、さらに無機系(グラスウールやロックウール等)と木質繊維系(セルロースファイバー等)に分けられます。

無機系はもっとも安価で一般的な素材ですが、丁寧に施工しないと壁に結露ができやすいといったデメリットがあります。

一方の木質繊維系は、無機系よりも高価な反面、環境にやさしく、断熱性能にも優れると言った特性があります。

天然素材系

羊毛や炭化コルクといった、自然素材を原料とする断熱材のことを言います。人の身体に優しい反面、断熱性能を考えると少し高価であるというデメリットが。湿度を調節してくれる機能や遮音性に優れるといった特性もありますが、コストパフォーマンスという意味では慎重に検討したい断熱材であると言えます。

発泡プラスチック系

さまざまなプラスチックを原料とする発泡素材です。代表的なのは、ポリスチレンフォームやフェノールフォームといったもの。柔軟性や耐水性、耐燃焼性に優れており、年月が経っても劣化しづらいといった特性があります。

安くないのがデメリットですが、機能的に優れた素材が多く、コストパフォーマンスは良好と言えるでしょう。

断熱材の選び方

ZEHを建てるときに気を付けたいポイント

断熱材にはいくつかの種類があり、それぞれ機能や価格が異なります。しかし気をつけたいのが、価格や特性だけを見て使う素材を判断してしまうこと。

希望する住宅のデザインや、それを実現するための施工方法によっても、最適な断熱材というのは変わってきます。また、住宅を建てるエリアの気候や周辺環境なども考えておく必要があります。たとえば東京や神奈川など、住宅が密集している土地が多い地域の場合は、断熱材に防火性能が求められたりします。もしそうしたエリアでZEHを建てる場合は、高断熱と防火性能を両立しなければならず、そのぶんコストも掛かります。

断熱材の特徴だけでなく、予算や住宅にかんするさまざまな条件を踏まえた上で、最適の断熱材を検討していくことが大切です。

ZEHを建てるなら知っておきたい断熱材の特徴

ZEHに使用する断熱材には、一般的な住宅に使われる断熱材よりも性能の良いものを選ぶことが重要です。ZEHに最適な断熱材選びを行うために役立つ情報として、ZEHに向いている断熱材・向いていない断熱材の特徴をまとめました。

ZEH向きなのは高気密、高断熱にしてくれる素材

ZEHの断熱材としては、高気密、高断熱なものを選ぶことがおすすめです。このような断熱材を選ぶことで、二酸化炭素の排出量を抑えることができるほか、国土交通省からは、ZEH向けの断熱材を使用することで、1年間で8万円以上もの冷暖房費を削減できるということが発表されています。

高性能な断熱材を利用すれば、冷暖房をつけなくても1年を通して快適な暮らしが可能になり、室内の温度差も少なくなるため廊下やお風呂で寒い思いをするということもなくなるでしょう。激しい温度差を抑えることでヒートショックの予防にも役立ちます(※)。

また、結露もしにくくなるので、カビやダニの発生を抑え、家を長持ちさせることができます。

参考資料:経済産業省資源エネルギー庁「今後の省エネルギー政策について」

結露しにくく防湿施工も要らない「セルロースファイバー」

エコ、ZEH向けの断熱材として近年注目を集めているのがセルロースファイバーです。パルプや古新聞などを細かく粉砕して作られた断熱材で、繊維1本1本の中の空気が断熱性を高めるほか、ほう酸や硫酸アンモニウムを配合しているため虫がわきにくく、燃えにくくなるという特徴も持っています。

セルロースファイバーの施工は専用の機械で柱や壁に吹き付けるという方法で行われ、断熱材を入れ込むことが難しいような場所にも施工でき、リフォームに適しているといえるでしょう。

また、下記で紹介している「グラスウール」や「ロックウール」に比べて結露もしにくく、防湿施工を省くことが可能です。

メリットが多くZEH向けの断熱材ではありますが、価格はやや高く、施工に手間がかかるというデメリットはあります。

断熱性・耐火性に優れた「フェノールフォーム」は長期利用に最適

フェノールフォームは、ZEH住宅に使用されることが多い断熱材で、断熱性能が高く、素材が安定しているため長期的に高性能をキープできます。耐火性も高く130度まで耐えることができ、有害ガスもほとんど発生しません。

加えて、カッターなどで簡単に加工ができるため扱いやすく、リフォームに取り入れることも容易です。

デメリットとしては、やや価格が高くなるという点があります。

断熱材区分最高ランクの「高性能フェノールフォーム」はよりZEH向き

地球温暖化防止に関してより考えられた断熱材が高性能フェノールフォームです。断熱材区分最高のFランクに該当し、高い断熱効果が期待できます。

従来のフェノールフォームと比較してもホルムアルデヒドの発生が少なく使用制限もありません。地球だけでなく、人体への影響も少ない断熱材として、ZEH住宅を建てる、またはリフォームする方や業者から注目を集めています。

安価な「グラスウール」には防湿施工が必須

繊維系の断熱材の中でもとくにメジャーなのがこのグラスウールです。グラスウールはリサイクルガラスを原料としており、壁や床や天井など、住宅の様々な部分に断熱材として使用することができます。柔軟性があるため木材の乾燥、伸縮にも対応することができ、骨組みの部分への施工も可能です。

不燃性で有毒ガスも発生しないため、地球環境を守るためには優れた断熱材といえるでしょう。防音性も高く、映画館やコンサート会場でも使用されることがあります。

燃えない、また価格も安価であることからZEHの断熱材として使用されることもありますが、材質自体に水蒸気が入りやすいという欠点はあるので、ZEHでグラスウールを導入する際は防湿施工が必須です。断熱材を検討する際は、安価な価格に飛びつかず、このような手間、資金のことも考えることも重要でしょう。

通常より繊維が細く断熱性の高い「ハイグレードグラスウール」

グラスウールには、より性能に優れた高性能グラスウール、ハイグレードグラスウールという商品もあります。

こちらは通常の住宅で使用されるグラスウールよりも繊維が細く、断熱性がより高いものです。断熱性が高いのに薄くて軽いという特徴を持っており、ZEH向けの断熱材と言えるでしょう。

天井用には吹き込み用グラスウールという断熱材もあり、施工の際は天井裏にグラスウールを吹き込むという方法がとられ、ZEHの住宅にリフォームする際によく利用されています。

一度吹き込み用グラスウールを使用すると撤去が難しいというデメリットがありますが、リフォームを検討中の方は一度考えてみるのもいいでしょう。

グラスウールに比べやや高性能な「ロックウール」

グラスウールとよく比較されることの多いロックウールですが、こちらも同じく無機系の断熱材です。グラスウールと同じく不燃性で火災にも強く、有害ガスも発生しません。

防音性が高いという点もグラスウールと一致しています。

グラスウールとロックウールの違いはその性能にあり、ロックウールの方が性能、撥水性、耐火性、吸音性のどれを取ってもやや高性能です。よりZEH向けの住宅にしたいという場合は、グラスウールよりもロックウールを使用することをおすすめします。

しかしグラスウールよりロックウールの方がやや価格が高く、グラスウールと同じく防湿施工は必要です。

ZEHに不向きな断熱材「ビーズ法ポリスチレンフォーム」

ビーズ法ポリスチレンフォームは、住宅用の断熱材というよりかは食品保存用の箱などに多く使用されてきた断熱材で、断熱性は高いもののZEH向けとはいえません。

ビーズ法ポリスチレンフォームには、性能が低下しにくく湿度に強い、扱いやすく施工が簡単、また価格が安価というメリットがありますが、カットの際に粉が舞うためリフォームに導入すると後片付けが大変になります。また柔らかい素材なので傷がつきやすいため、ZEHに適した断熱材を選ぶなら、ビーズ法ポリスチレンフォームは不向きと言えます。

まとめ
断熱材は業者としっかり打ち合わせして選ぶ

通常の状態から消費エネルギーを20%以上削減する、というのがZEHと認定される条件の1つとされています。断熱材は省エネを実現するために欠かせないものですから、どういった素材を選ぶかで、認定の成否が変わってくることも十分考えられます。

そのため、ZEHを建てる場合は、予算や希望等を業者とすり合わせておくことが大切です。またその際は、このページでまとめているような素材の特性を把握しておくと話がスムーズに進むはず。しっかり情報収集をし、後悔のない選択をされるようにしてください。